情報弱者のシニア層(高齢者)を狙うマーケティングが秀逸で容赦ないと感じた

高齢者や情報弱者を狙うマーケティング

情報弱者と高齢者、この2つの親和性は高い。世間を見渡すと土地や現金などそれなりの資産を持った高齢者を狙う広告に気づくだろう。誤解を恐れずに言うとシニア層は既に第一線を退いていて、目まぐるしい変化を遂げる社会やネット環境においては情報弱者と呼べるだろう。(もちろん、そうでない高齢者もいるだろう)

先日、高齢者で情報弱者の僕の叔父をターゲットにした、巧妙なマーケティングを目撃する機会があったので分析してみたいと思う。秀逸なマーケティングシナリオで情報弱者の高齢者を狙い、的確に財布の紐を緩める手法について解説したい。

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先日、70代半ばの叔父に届いたDM(ハガキ)があまりにも巧妙な作りだった。小さな会社の役員を経て引退した叔父の趣味はゴルフとパソコンだけど、パズルゲームをやる程度だ。

叔父の人物像としては老後の普通の生活に困ってはいない隠居人、今でも月に何度か大好きなゴルフに出かけている。新聞とテレビを主たる情報源として、世論に自分の意見を被せる叔父を見ていると情報弱者という言葉が頭に浮かぶ。

高齢者であり情報弱者でもある僕の叔父がある日、僕に1枚のDM(ハガキ)を見せて来た。叔父が持ってきた良い紙質のDMにはただ一言、こう書いてあった「招待状」と。

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高齢者の憧れを狙うマーケティング「招待状」

情報弱者への招待状

圧着ハガキのDMは印刷されている。僕の経験では手書きじゃない招待状の99%はロクな物ではない。そんなことを考えながら圧着ハガキの内側を見てみると、そこにはこう書いてあった。

 

「名門コース〇〇クラブに無料でご招待します」

 

叔父は嬉しそうに「ここはジャケットを着て行く名門ゴルフクラブなんだ」「会員権がないとプレーできない」などと僕に教えてくれた。叔父はどうやら本気で名門ゴルフクラブに無料で招待されたと思っているらしかった。

僕は叔父のような信じやすい人、つまり疑う為の情報を持たない「情報弱者」に向けて出された招待状らしきDMの内容を注意深く読むようにした。

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高齢者や情報弱者を狙うクリエイティブ

高齢者の心をくすぐる招待状

実際によく中身を読み込んでみると素晴らしく秀逸なマーケティングが行なわれていた。叔父のような老後の時間を持て余している高齢者のプライドをくすぐりながら、誘導していく構成になっている。

僕が秀逸だと思った部分を箇条書きにするので、上の画像とと見比べて欲しい。

 

1.簡潔な誘い文句と高級感
⇒あくまでもVIP向けの招待状と称して文章を簡潔に書いている。大き目の文字でポイントは赤字にする。老眼が進んだ高齢者でも簡潔に理解できるだろう。

 

2.同じ世代の仲間の笑顔
⇒同世代のゴルフ愛好家の写真を載せることで、安心感を与えている。仕事を引退した高齢者に取って一番怖いのは孤独になることだろう。

 

3.QRコードを大きく表示
シニア世代の半分は未だにガラケーを使っていると言われている。ガラケーにはスマホと違ってQRコードの読みとり機能が装備されていたのを覚えているだろうか?

シニア(60〜79歳)のスマホ率は約4割、タブレット所有率は約3割:MMD研究所 – Engadget 日本版

 

4.期間限定を小さく、でも解るように表示
⇒小さな文字で期間限定を表示するということは、このDMの本来の目的が招待状ではないという事を指し示している。本来の目的は一番大きく表示されているQRコードを読み取らせることだ。

 

5.先着順という曖昧さ
⇒先着順というところがポイントだろう。これならば企業内部で調整が効くかもしれないし、それは無いとしても「先着順」を盾にした次の展開がエグかったのだ。(後述する)

 

叔父はこのDMに魅力を感じ、QRコードの使い方が解らなかったので僕にやり方を聞いて来た。もしも叔父がスマホではなく、ガラケーを使っていたら僕が知らないところでワクワクしながらQRコードをクリックしていただろう。

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高齢者を狙うDMを「AIDMAの法則」で考える

AIDMAの法則

http://cyber-synapse.com/dictionary/en-all/amtul.html

叔父に届いた招待状を語るDMを「AIDMAの法則」というマーケティング理論に沿って考えると秀逸だ。一番難しいはずのAttention(認知)~Desire(欲求)までの部分を軽々とクリアする秀逸な手法だった。

マーケティングの話やAIDMAの法則という言葉を初めて聞いた方の為に簡単に説明しよう。AIDMAの法則とは商品やサービスを購入する時の消費者心理の流れを図解したもので、ひとつでもつまずくと商品やサービスの購入には至らないという考え方だ。

 

AIDMA(アイドマ)とは1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが著作中で示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語である。日本語圏において「AIDMAの法則」として、2004年に広告代理店の電通等により提唱されたAISASとの比較により知られる。

AIDMA – Wikipedia

 

AIDMAの法則の5段階について簡単に流れを記載しておく。実際にはもっと細かく分析する手法を使うほうが良いのだけど、こちらの方がブログ上では説明が簡単にできる。

 

AIDMAの法則

1.Attention(注意)⇒商品に気づく
2.Interest(興味)⇒興味を持つ
3.Desire(欲求)⇒欲しいと思う
4.Memory(記憶)⇒メモを取ったり保管したり
5.Action(行動)⇒購入する

 

叔父のケースにおいては高齢者をターゲットにしたDMから下記の様な流れが想定できる。

 

叔父のAIDMAによる行動

1.Attention(注意)⇒紙質の良い招待状を見て手に取る
2.Interest(興味)⇒私が名門クラブに無料で招待だって?
3.Desire(欲求)⇒ぜひ一度プレーしてみたい!
4.Memory(記憶)⇒ハガキを大事に取っておく
5.Action(行動)⇒QRコード無理(僕の叔父はここで脱落)

 

叔父はスマホだったので簡単にQRコードを使えない為に「5.Action」で脱落した。くり返しになるがガラケーだったらそのまま読み込んでいたと思う。

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高齢者・情報弱者を狙う本当の狙いは「有料会員登録」だった

高齢者や情報弱者への狙い

僕はスマホアプリを使ってQRコードを読み込んだ。するとゴルフ場予約サイトのウェブサイトに辿り着いた。そしてまた高齢者で情報弱者の僕の叔父を狙うマーケティングが展開されているではないか。

結論を言ってしまうとこうだった。「招待状」という文面から始まったはずの高齢者・情報弱者マーケティングの結末はなぜかこうなっていた。

 

「ゴルフ場予約サイトの有料会員登録」

 

特筆すべき点は以下の通りだ。

・無料招待の申込にはゴルフ場予約サイトの「有料会員登録」が必要

⇒19,800円(税別)、2年目から36,000円(税別)

 

・30歳くらいの女の子が顔出しでサポート宣言

⇒当日は事務局スタッフがサポート、但し本人とは言ってない

 

・有料会員登録は自動更新、次年度は年会費増

⇒退会条件の詳細は明示されていない

 

・申込方法はクレジットカード決済のみ

⇒決済しないと申し込めない。先着に漏れた場合の返金等の表示はない

 

しかもクレジット決済を完了しなければ申し込めないし、先着5名様しか享受できない「招待状」だったのだ。これを招待状と呼んでよいのだろうか?

 

情報弱者の叔父に伝えたこと

スタッフがサポート

僕は叔父をできるだけ傷つけないように事実を伝えた。招待状とは書いてあるけど目的は「高額な有料会員登録」であること、「先着5名」という部分が怪しいということ、先に書いた女の子の話とか高齢者を狙ってクリエイティブを作っているようなことは一切言わなかった。

それを聞いた叔父は納得はしたけどなんだか寂し気に見えた。更に横で話を聞いていた叔母に「世の中に美味い話なんてないのよ!」と軽く責められて少し可哀相でもあった。

僕は叔父の人脈ならば自力でその名門ゴルフクラブでプレーすることが出来るのではないかと思い、そう言いかけたけど止めておいた。これ以上、彼のプライドを傷つけるような行為をしてはいけないと感じたからだ。

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あとがき:高齢者・情報弱者に向けたマーケティングについて

こんな記事を書いたけれど、皆さんに誤解して欲しくないのはこの会社を批判している訳ではないという事だ。むしろあのDMは高齢者や情報弱者と呼ばれる人に向けた秀逸なマーケティングだと思っている。

僕の叔父のかゆい所をくすぐって、手を引いて、有料会員登録へと誘導していくシナリオの完成度は相当高いと感じた。従業員十数人の会社だけど、これからも売上を伸ばしていくだろう。

但し、この会社に僕からひとつだけお願いがある。

 

今後一切、僕の周りの人間に関わらないでほしい

 

真の目的を隠したクロージングは他でやって欲しい。叔父のプライドを傷つけずにどうやってDMを止めるかが、現在の僕の悩みの種である。

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